「ゆっくりして行ってな〜」
「いただきます」
そう言って笑みを向けると、店員さんもニコッと笑みを返した。
即座に飲んだお茶は、まろやかな甘みとほろ苦い抹茶がとても美味しかった。お茶を飲み干すと銭を払い、一口も付けなかったお団子を手に店を出た。
そして、町を1人で歩く幼い男の子を探して声をかけた。
「僕。お団子好き?」
「うん!」
「じゃあこれ、あげる!」
「いいの?お姉ちゃん食べないの?」
「私は食べられないから。どうぞ」
男の子と同じ目線の高さになるようにしゃがんで、お団子を差し出すとその子は様子を伺うように私を見つめた。
私が微笑むと、男の子は嬉しそうに「ありがと、お姉さん!!」とお団子を受け取った。
「串の先は危ないから気を付けてね。ばいばい」
「うん!ばいばい!!」