「いくよー?……用意、初め!!」
合図とともに飛び出してきた彼女に、僕は得意の三段突きをかました。
三段突き特有のダダダンッという音の中に二つ、雑音が混じった。
一度と言わず、二度目の突きまでも彼女は止めたのだ。
だけど三度目は止められず、一本が入った。
刀を止めたまま、下を向く彼女の肩にそっと手を置くとビクッと反応し、ゆっくりと僕を見つめた。
彼女は泣いていた。
「っ」
「っごめん、当たった?」
そう尋ねると、涙をグイッと拭き取ると、またキョロっと話し始めた。
「ほこりかな。それ)りなんですかその技!止められるわけないじゃないですかっ!!目にも止まらぬ早さってこの事を言うんですね!凄い!今度また手合わせお願いします!!ありがとうございました!!」
一気にそう言うと、彼女は笑みを深めた。相変わらずのおかしな笑みではあったが、どこかその笑顔は嬉しそうに見えた。
「こちらこそ」