沖田総司サイド────



「そう……ですね」



そう言った彼女は、少し寂しそうに見えた。



「目を離すと土方さんに怒られちゃいますから。食事の時は一緒に来てください」



「わかりました」



へばりついている感情の読めない笑みは、僕の黒笑よりも怖いと思う。



この子が悪い人のようには見えなかったけど、僕はなぜか彼女を引き止めておかなければならない。



………引き止めておきたいと思った。



彼女の声、彼女の匂い、彼女の姿。何もかもが懐かしく感じた。



「沖田さん」



「なに?」



「なんでもないです」



そう言って彼女は変な笑みを深めた。



「ふーん。ほら、行くよ」



そう言って僕は彼女を大広間へ連れ出した。