放課後。 「二宮さん。この教材、社会科室まで運ぶの手伝ってくれないかしら」 もたもたしていたら先生に捕まって、用事を頼まれてしまった。 先生もギャル化しはじめた子に声はかけにくいのか、今までの装いを保っている子に声を掛けることが多くなった。 このクラスでの少数派は、ほんの2、3人……。 ほかの子は部活をしているから、こういう場合真っ先にあたしに声がかかるんだ。 「はい、わかりました」 断る理由もなくて、あたしはそう返事した。