モヤモヤしたまま迎えた午後の授業。


煌くんと隣で受けるのはちょっと……と思っていたから、体育なのはありがたかった。


今日は平均台。

ポーズをとったりジャンプしたり、最終的には決められた歩数で終わって着地しなきゃいけない。


姿勢も見られるし、体育でもあるような、作法でもあるようななかなか難しい種目なんだ。


……ひとつだけ、厄介なことがある。


自分の番が来るまで背の順で並んでいるんだけど、あたしと桜子ちゃんは前後で。

桜子ちゃんはあたし以外話す人がいないし、当然のように話しかけてきたのだ。



「ね、愛莉ちゃんの好きな人って煌でしょ」



しかも、予想通りの内容で。



「えっ……」



やだな、この話。

桜子ちゃんと煌くんの話をするのは遠慮したいんだけど。


……そんな願いは通じるわけもなく、