懲らしめて差し上げますっ!~じゃじゃ馬王女の下克上日記~

それを見たイワノフは、好々爺のごとき穏やかな顔をして、ホッホと笑っていた。



それから数時間が経過して、夕暮れ時となる。

先ほどまでラナたちは、町の役所にいた。

イワノフを中心に税金関係の書類をチェックし、その場でレベンツキー伯爵に改善の指示を出していたのだが、今は伯爵邸にて、ひと息ついているところである。


田舎屋敷にしては、なかなか豪華で洒落た内装に設えてあり、久しぶりにクッションの効いた長椅子でくつろぐラナは、テーブル一杯に並んだケーキとお茶を楽しんでいた。

トカゲ一族は戦闘が終わればサッと姿を隠してしまったので、ここでもてなされているのは、平民服に戻ったラナたち五人だけである。


レベンツキー伯爵は着席せずにラナの横に立ち、「我が家のケーキはいかがでしょう?お代わりをお待ちしましょうか?」と手揉みしてご機嫌取りに励んでいる。


「五つも食べたら満腹よ。もういらないわ」とラナがデザートフォークを置いたら、向かいのひとり掛けの椅子に座るイワノフが、まだ解決していない問題について、伯爵に問いかけた。


「それで、なにゆえ資金を溜め込んでおったのか、ご説明願いましょうかの?」