可愛らしい若い娘の声色ながら、ラナの言葉には王家の紋章に刻まれた獅子の如く、偉大な迫力を感じさせるものがある。
肩をビクリと震わせた伯爵は、「ははー」と再び石畳に額を付け、すっかり観念した様子であった。
カイザーは隣に立つラナを頼もしく見つめていた。
普段は自由奔放で気さくすぎる幼馴染だが、時として実に見事に、王家に相応しい風格を醸し出す。
王女らしく成長したな……と彼は、しみじみと感じ入っていそうな目をしているが、そもそも普通の姫は、悪者退治に旅に出かけたりしない、ということには気づいていないようだ。
イワノフはラナの言葉に満足げに頷いてから、町人の様子に嬉しそうに目を細めていた。
道の左端では、食堂の夫婦が手に手を取り合って涙を流して喜んでいる。
泣いていた背中の赤ん坊も、今はキャッキャと笑っているようだ。
税金滞納でしょっ引かれる最中を救われたのだ。きっと地獄で女神に出会ったような心持ちなのだろう。
道の右端では、野次馬たちが歓喜の声を上げているが、その中に、宿屋の主人も交ざっていた。
やる気がなく、常に疲労の濃い顔つきをしていた無愛想な彼も、今は満面の笑みで「王女殿下、万歳!」と叫んでいる。
肩をビクリと震わせた伯爵は、「ははー」と再び石畳に額を付け、すっかり観念した様子であった。
カイザーは隣に立つラナを頼もしく見つめていた。
普段は自由奔放で気さくすぎる幼馴染だが、時として実に見事に、王家に相応しい風格を醸し出す。
王女らしく成長したな……と彼は、しみじみと感じ入っていそうな目をしているが、そもそも普通の姫は、悪者退治に旅に出かけたりしない、ということには気づいていないようだ。
イワノフはラナの言葉に満足げに頷いてから、町人の様子に嬉しそうに目を細めていた。
道の左端では、食堂の夫婦が手に手を取り合って涙を流して喜んでいる。
泣いていた背中の赤ん坊も、今はキャッキャと笑っているようだ。
税金滞納でしょっ引かれる最中を救われたのだ。きっと地獄で女神に出会ったような心持ちなのだろう。
道の右端では、野次馬たちが歓喜の声を上げているが、その中に、宿屋の主人も交ざっていた。
やる気がなく、常に疲労の濃い顔つきをしていた無愛想な彼も、今は満面の笑みで「王女殿下、万歳!」と叫んでいる。


