懲らしめて差し上げますっ！～じゃじゃ馬王女の下克上日記～

伯爵の家来たちも、食堂の夫婦も野次馬たちも、皆が平伏している。

田舎町ではなおさらに、ミトロニア王家の名は畏怖を感じるものらしい。

ラナは半歩前に出ると、目の前で土下座している伯爵に向け、感情的にならないように気をつけて語りかけた。


「レベンツキー伯爵領の状況は、この目でしっかりと確かめましたわ。過剰に木々を切らねば生活できないきこりたちに、困窮に喘ぐ町の民。それは一体、誰のせいなのでしょう？」

「そ、それは、その、色々と事情がありましてーー」


伯爵がわずかに頭を上げて、上目遣いにラナの顔色を窺っている。

一見してにっこりと優しげに微笑んでいるラナだが、その緑がかった碧眼には、この町に着いてから溜め込んできた怒りが溢れそうになっていた。

伯爵が責任逃れのような言い方をしたので、ラナの怒りは加速されてしまう。

「お黙りなさい！」とその発言をピシャリと遮り、尊大に言い放った。


「わたくしを欺けると思わないで。全てはレベンツキー伯爵、あなたのあさましさのせいです。今すぐに国内法に定められている率まで税を下げ、苦しめてきた領民たちに詫びなさい！」