ファンファーレがやみ、急に静かになった町の中で、カイザーはマントの下からある物を取り出すと、辺りを取り巻く全ての者に、それを見せつける。
「我らに刃向かう者たちよ、その愚かな目を見開いてしかと確かめるがいい。このメダルに刻まれた崇高なる紋章をなんと心得る!」
カイザーが掲げているメダルは、手のひら大の純銀製で、縦縞のリボンがついている。
そこに彫られているのは、王家の紋章。
十字のついた盾を挟むようにして二頭の獅子が立ち、上部には王冠と葵の葉、下部には【華麗なる一族ミトロニア】と書かれた巻物がデザインされている。
公式な式典で王族は、その身分を証明するために、このメダルを必ず首から下げるというしきたりがある。
命の次に守らねばならないと言っても過言ではない大切なメダルを、ラナがカイザーに預けていた理由は、ひとえに彼を誰より信頼しているからである。
けれども、純銀製で重たいから自分で持ち歩くのは嫌だ……という理由もあるのは否めない。
「我らに刃向かう者たちよ、その愚かな目を見開いてしかと確かめるがいい。このメダルに刻まれた崇高なる紋章をなんと心得る!」
カイザーが掲げているメダルは、手のひら大の純銀製で、縦縞のリボンがついている。
そこに彫られているのは、王家の紋章。
十字のついた盾を挟むようにして二頭の獅子が立ち、上部には王冠と葵の葉、下部には【華麗なる一族ミトロニア】と書かれた巻物がデザインされている。
公式な式典で王族は、その身分を証明するために、このメダルを必ず首から下げるというしきたりがある。
命の次に守らねばならないと言っても過言ではない大切なメダルを、ラナがカイザーに預けていた理由は、ひとえに彼を誰より信頼しているからである。
けれども、純銀製で重たいから自分で持ち歩くのは嫌だ……という理由もあるのは否めない。


