ドカドカと店内に入ってきたのは三人の男で、腰に剣を携え、枯れ草色の揃いの服を着た役人風の出で立ちである。
その中で年長に見える口髭を生やした中年男が前に立ち、逞しい体つきをした若い役人ふたりは彼の後ろに付き従っていた。
年長の役人が店内を見回したので、ラナたちと視線が合ってしまう。
もしや先ほどの、伯爵を非難していた会話を聞かれてしまったのかとラナたちは危惧したが、そうではなく、役人は「店主、いないのか?」と厨房に向けて声を張り上げていた。
「隠れても無駄だぞ。飯を食っている客がいるということは、料理を作ったお前もいるはずだ。出てこないなら、奥まで踏み込むぞ」と、なにやらただならぬ様子である。
一拍して慌てたように厨房から、店主とその妻が飛び出してきた。
そしてふたりして役人たちに、ペコペコと頭を下げている。
「お役人様、お待たせして申し訳ございません。あの、税の徴収に来られたのでしょうか……?」と店主が恐る恐る尋ねたら、年長の役人が嘲るように笑った。
「他にどんな用事があるというんだ。まさか飯を食いに来たと思ったのか?おめでたい奴め。滞納している二カ月分と、今月分を合わせて三十万ゼニーだ。今すぐ支払え」
その中で年長に見える口髭を生やした中年男が前に立ち、逞しい体つきをした若い役人ふたりは彼の後ろに付き従っていた。
年長の役人が店内を見回したので、ラナたちと視線が合ってしまう。
もしや先ほどの、伯爵を非難していた会話を聞かれてしまったのかとラナたちは危惧したが、そうではなく、役人は「店主、いないのか?」と厨房に向けて声を張り上げていた。
「隠れても無駄だぞ。飯を食っている客がいるということは、料理を作ったお前もいるはずだ。出てこないなら、奥まで踏み込むぞ」と、なにやらただならぬ様子である。
一拍して慌てたように厨房から、店主とその妻が飛び出してきた。
そしてふたりして役人たちに、ペコペコと頭を下げている。
「お役人様、お待たせして申し訳ございません。あの、税の徴収に来られたのでしょうか……?」と店主が恐る恐る尋ねたら、年長の役人が嘲るように笑った。
「他にどんな用事があるというんだ。まさか飯を食いに来たと思ったのか?おめでたい奴め。滞納している二カ月分と、今月分を合わせて三十万ゼニーだ。今すぐ支払え」


