懲らしめて差し上げますっ!~じゃじゃ馬王女の下克上日記~

イワノフたち三人は、一昨日と昨日に引き続いて町の調査を担当した。

食料品店や雑貨屋、床屋に薬屋に衣料品店など、民家の片隅で商いをしている小さなものも含めれば、この町には五十五の店があった。

それらの全てに出向いて品物やサービスの値段を調べ上げるのは、時間がかかる作業である。

けれどもオルガがいてくれるおかげで、二日半でそれは終わった。

オルガはただの童顔な侍女ではなく、超人的な記憶力の持ち主である。

一度目にしたことは忘れず、商店内をひと回りして出てくれば、紙にスラスラと商品と値段を書き出すことが可能なのだ。

ラナがオルガを同行者に選んだのは、身の回りの世話をしてもらうためだけではなく、その能力を買ってのことであった。


そうしてイワノフたちが調査した結果、物価が王都の二倍から三倍という事実が判明した。

薬価に至っては、さらに一割増であった。

これでは病気になっても、一般庶民は薬を買うことができないだろう。

ゆゆしき事態である。


この異常事態の原因を探るべく、イワノフたちは町人に聞いて回ったが、大人たちは誰ひとりとして答えてくれなかったそうだ。

けれども、靴磨きをしていた十歳くらいの少年に、イワノフが銀貨を一枚渡して尋ねたら、辺りを警戒しつつ、こっそりと重要な情報を与えてくれたという。