懲らしめて差し上げますっ!~じゃじゃ馬王女の下克上日記~

ラナとカイザーが喧嘩をやめたのは、素性がバレる恐れのある会話を聞かれては困るから……というよりは、ラナが「やった、骨付きソーセージだ!」と肉料理に喜んだせいであった。


二種類のパンとソーセージの盛り合わせに、野菜のスープ。

ラム肉とひよこ豆のトマト煮と、マッシュポテトがテーブル上に並べられた。

店主とその妻は、「ごゆっくり」と言った後は奥の厨房へさっさと引き揚げていき、五人はモリモリと食べながら、ヒソヒソと声をひそめて今日の成果を報告し合った。


ラナとカイザーは、早朝から馬を借りて、町の西側に広がる山間の村まで行ってきた。

三年前の視察団の報告書で、過度に森林を伐採していたという一帯を確かめてきたのだ。

あの時、レベンツキー伯爵に指導が入り、闇雲な伐採は収まったはずであったのだが、実際は今でも過剰に木々が切り出されていることが判明した。

外部の者から指摘されないようにと、外側の木々には手をつけず、見えづらい奥側をごっそり切ってしまうという行為に腹黒さを感じる。