ラナは昨夜、眠れぬベッドの中で考えた、未来予想を口にした。

悪政によって経済が衰退し、貧困者が激増するのではないか。

不満を募らせた民衆が暴徒化したり、あちこちで蜂起するかもしれない。

そうなれば、今、忠誠を誓っている貴族の中にも、王家に任せておけぬと謀反を企む者が現れて、戦乱の時代へと突入することだろう。

王家が滅びると同時に、どれくらいの血が流れることか……。


最悪のシナリオを、ラナが真顔で話していると、国王の顔がさらに曇り出す。

そうなる可能性について思案しているように、落ち着きなく両手の指を組み替え、眉間の皺も深いものとなっていった。

もう一押しだと企むラナは、「わたくしが王位につきましたら、お祖父様やお父様が築かれた平和を、全力で維持することをお約束致しますわ」と語気を強めて主張した。


唸り声を上げた国王はどうやら、ラナの言葉に心を動かされたようである。

けれども、「法律がな……」という壁が消えたわけではない。

悩みの中に落とされた父に向けて、ラナはにっこりと微笑んで見せた。