諸侯らと向かい合うようにして、議事堂内の奥に並んで座っているのは、国王一家である。

中心が国王で、右隣にラナ、左隣に息子である王太子が座っていた。

普段は議事堂内に女性は立ち入り禁止であるのだが、この議題においてはラナが主役であるため、特別に参加を許されている。


議論がやや脇道にそれ、お互いを罵り始めた諸侯らに、国王もラナもため息をつく。

王太子は腕組みをして目を瞑り、もしかすると眠っているのかもしれない。

「お父様、わたくしに発言の機会を与えてください」と彼女が申し出れば、国王が頷き、片手を挙げた。

そうするとたちまち議事堂内は静かになり、ラナは立ち上がって綺麗な声を響かせる。


「わたくしが王位に就いたあかつきにはーー」


教育と医療の充実、産業の発展に尽力することや、強大な力を持つ西の帝国との貿易摩擦を解消することなど、彼女は国の未来を真摯に想い、心を込めて演説する。

その間、諸侯らは黙って聞いてくれてはいるが、王太子を次の国王に推す者たちは、面白くない顔をしていた。

それはおそらく、王女の優秀さがひしひしと伝わってきて、女性であること以外に文句のつけどころを見つけられないためであろう。