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ラナが長旅を終え、王都に帰還してから三カ月ほどが過ぎていた。

年が明けて、王都にはチラチラと雪が舞い降りる。

無事に、国王に課された三つのミッションをやり遂げたラナであるが、すぐに王位継承権を与えられ、女王即位に向けた話が始まるわけではない。

これまで男性のみが有していた王位継承権を、女性にも与えるという法律に改正するためには、議会で三分の二以上の賛成を得ねばならないのだ。

ラナの旅はあくまでも、改正案を通すための説得材料に過ぎず、今日も熱い議論が、王城の議事堂内で交わされていた。


「都合によって法改正すればいいという、悪しき前例になってしまいますぞ。軽々しく法律を変えるべきではありません!」


とある伯爵がそう主張すれば、その後ろに座っていた子爵が別の意見を述べる。


「王女殿下の武勇伝は、もはや国中に広まっております。行動力、判断力、統率力が優れていらっしゃることがよくわかりました。他国には女王も存在しますし、私は法改正に賛成であります」