「イワノフには止められるかと思ったのに、意外だわ。みんなベーコンが好きなのね。今からお土産買いにいく? 今夜中に食べちゃうかもしれないけど」


はしゃぐラナに「違います」と指摘を入れたのは、オルガである。

「燻製工場は気になりますが、ベーコンを買いにいくわけではありません」と侍女に淡々と否定され、ラナは首を傾げた。

「じゃあ何しにいくのよ?」


するとイワノフがやれやれと言いたげな顔をして、説明してくれる。

「資料を思い出してくだされ。この領地に謎の皮膚病が発生したことが問題ですぞ。我々はそれを調査せねばなりません」


イワノフの言う通り、資料には謎の皮膚病についてが書かれていた。

領主にそれについて質問状を送れば、すぐに政府に回答書が送られてきたそうだが、原因は調査中であり、しばらく時間が必要とのことであった。

しかし、それから一年ほどが経っても、調査中というばかりで、ちっとも原因が判明しない。

患者は増え続けるばかりで、政府は、この問題についての重要度を引き上げたというわけだ。