そのあと、芽衣のアパートに寄り、少しだけ荷物を持って、店に戻った。

 店の二階が住居になっているからだ。

「この部屋を使え」
と逸人は廊下の突き当たり近くにある部屋のドアを開けてくれる。

 はい、ありがとうございます、と芽衣は頭を下げた。

 よく考えたら、なんで、逸人さんの言いなりに動いてるんだろうな、と思わなくもなかったが。

 チラ、と逸人を見上げる。

 腕を組んで立つ逸人は、子どもの頃から変わらぬ帝王のような目をしていて。

 圭太ではなく、この人を会社のトップにと望む人が居るのはちょっとわかるな、と思っていた。

 しかし、実際には、この帝王様は、パクチー専門店の店主になられるそうだ。