「芽以は?」
と訊いてくるので、日向子と先に行ったようだと教えると、圭太は渋い顔をし、

「あの二人、意外に仲がいいようだな」
と言ってきた。

 そうなのだ。
 日向子は年がら年中、芽以に食ってかかってはいるが。

 芽以はそれを軽く受け流しているし、日向子もなんとなく楽しそうだ。

 だからこそ、気分転換に頻繁に店を訪れているのだろう。

 圭太が来ていないかチェックするためだけではなくて。

「……芽以と上手くいっているようだな」

 窺うようにこちらを見ながら言う圭太に、いや、いってはいない、と思っていた。

「なあ、どうしたら、芽以と上手くいくと思う?」

「俺に訊くな……」

 まあ、そうだな。

 俺も錯乱していたか、と思いながらも、

「でも、お前と芽以は、はたから見ていたら付き合ってるように見えていたからな」
と言うと、圭太は、

「あのまま居たら、幸せだったかな」

 ぼそりとそんなことを呟いてきた。