相馬逸人は、圭太の二つ下の弟だ。

「たぶん、そうなるんじゃないかと思っていたが、親の勧める相手と結婚することになった。

 長い間、お前を待たせていたのに、こんなことになり、本当にすまないと思う」
と圭太は頭を下げてきた。

 なにあのイケメン、なんでクリスマスに女の子に頭下げてんの?
という目で女子高生たちが見て行く。

 いや……待ってなかったけど、たぶん。

 ……と思うんですけど、たぶん。

 っていうか、そもそも、貴方が私のことを好きだとは知らなかったんですが。

 知った途端にフラれてしまうという奇異な体験をクリスマスイブの夜にしてしまった。

「だから、お前、逸人と結婚しろ」
と圭太は繰り返し、よくわからないことを言ってくる。