六

 私は自分が死んだことを理解していなかった。未来は続いていると思っていたから。私の人生はこれからだって。先は真っ白で、これからいろんな色をつけていくんだって。

 だから、自分が殺されるなんて思ってもいなかった。これは夢だ。悪夢だ。現実じゃない。そう思い込むことで気持ちを保っていられたんだと思います。

 ことの発端はそう、ある男が声をかけてきたことによります。

 この場所は初めて来たところだとかで道が分からず迷子になったので地図を描いて欲しいと言われました。そこで私は地図を書いたんです。でもよくわからない顔をしていたので可哀想になって、近くまで案内してあげることにしました。どうせ暇だったし、散歩がてら歩こうと、そう思ったので道案内を。