月明かりの下の舞踏会



固まってその人を見つめていると、男の人は嬉しそうな顔して私を見てきた。

はっと我に帰り籠の中からお菓子を取り出そうとすると、男の人がそっと私の手に触れた。


「待っていたよ、可愛いレディー。わざわざ持ってきてくれたの?」


ひんやりと冷たいその手は私を冷静にしていく。

そう問われて、小さく頷くと優しくエスコートするように背中に触れ、あっという間にお屋敷の中へと足を踏み入れてしまった。

お菓子渡してすぐ帰るつもりだったのに、入っちゃったらおもてなしされること決定じゃない。

でもこの男の人の甘い香りと素敵な雰囲気にどこか引き寄せられるのは……なんで?

ぼーっとする頭が、何かに揺れ動かされていく。


「俺の顔に何かついてる……かな?」


「えっ!あ!す、すみません!」


流石にじっと見つめすぎたようだ。

慌てて視線を逸らしてみるけれど、視界に入ってきたお屋敷の中の広さに目を丸くした。