Snow Doll ~離れていても君を~


「うわー、そんなこと言って。好きな子には冷たくしちゃうってやつ?」

「そんなんじゃねーし」

「ほら海里、よく見てみろ」


椎名君が私の両肩を後ろから掴み、海里と強引に向かい合わせる。


「…………」


私と真正面から見つめ合う形になった海里は、微かに目を見張ったあと、その頬を徐々に赤く染めていく。

バッと顔をそむけた海里は、無言のまま私達を追い越し、階段の方へ足早に去ってしまった。


「ごめんねー、あいつ素直じゃなくてさ」

「女子を褒めることに慣れてないんだ。許してやってくれ」


理希達のせいではないのに、なぜか私へ謝ってくる。


「……いいの。私は気にしてないから」


「まあ、海里の気持ちはわからなくもない、か」


海里が立ち去った方角を見つめながら、椎名君が低くつぶやく。


「如月さんの考えが読めない今は、姫への気持ちを抑えるしかないからな」





椿高は元々は女子高で、何年か前に共学になったのだけれど、男子の方が圧倒的に数が少なく女子率の高い高校だった。


イルミネーションを見に来ている人達も、女子の方が多い。


けれど陽が完全に沈んでからは、段々と男子の数──それも、他校生の数が増えていった。