「うわー、そんなこと言って。好きな子には冷たくしちゃうってやつ?」
「そんなんじゃねーし」
「ほら海里、よく見てみろ」
椎名君が私の両肩を後ろから掴み、海里と強引に向かい合わせる。
「…………」
私と真正面から見つめ合う形になった海里は、微かに目を見張ったあと、その頬を徐々に赤く染めていく。
バッと顔をそむけた海里は、無言のまま私達を追い越し、階段の方へ足早に去ってしまった。
「ごめんねー、あいつ素直じゃなくてさ」
「女子を褒めることに慣れてないんだ。許してやってくれ」
理希達のせいではないのに、なぜか私へ謝ってくる。
「……いいの。私は気にしてないから」
「まあ、海里の気持ちはわからなくもない、か」
海里が立ち去った方角を見つめながら、椎名君が低くつぶやく。
「如月さんの考えが読めない今は、姫への気持ちを抑えるしかないからな」
*
椿高は元々は女子高で、何年か前に共学になったのだけれど、男子の方が圧倒的に数が少なく女子率の高い高校だった。
イルミネーションを見に来ている人達も、女子の方が多い。
けれど陽が完全に沈んでからは、段々と男子の数──それも、他校生の数が増えていった。



