それを聞いた橘さんの眼には涙がにじんでいました。

「私みたいな女の子の力になってあげてほしい」

「私もこういう子たちに、ジュンさんにしてもらったみたいにできたらいい」

こんなことを言えるようになったんだ、良かった、とちょっと泣きそうになりました。


橘さんが11年前に出会った、19歳のマリ。
彼女は、一人で街を漂うように生きていました。

セナとマリ、二人に共通していたのは、周囲に話を聞いてくれる人がいないこと。
一人でどうにかしようとして、一人ではどうにもならない現実に追いつめられてしまう。

そして、頼れるのは橘さんしかいない。