まだ、LGBTQという言葉がなかった頃から、差別や偏見に屈することなく女装していたキャンディさん。その原動力は、「好きだから」だったと思う。なんで、世間や常識を気にして、自分の好きなことをおさえたり、やめなければいけないのか。

日本人は、ほかの人と同じであることを良しとする風潮があるけど、その一方で、キャンディさんのように個性を貫く人をいい意味でほうっておいてくれる。
国によっては、セクシャルマイノリティだからという理由で露骨に差別されたり、命を狙われたりもする。日本のように女装するなんて、とてもじゃないけど無理な国もある。

特発性間質性肺炎という難病と診断され、集中治療室に入った。でも、そんな姿をカメラに撮ることを許可したキャンディさんは、ベッドの上で息切れしながらも「キャンディ♥キャンディ」の歌を歌ってみせた。

亡くなったあと、息子さんが戒名に「飴」の字を入れてくれた。

遺影のキャンディさんは女装をしていなくて、それが初めて見る素顔だった。