自分らしさを大切に。言葉にするのは簡単だけど、これを亡くなるまで貫いた人がいる。『ザ・ノンフィクション』が密着した、女装愛好家のキャンディさん。正式名称は、キャンディ・H・ミルキィさん。

少しグレーががかった髪の72歳の男性が、カツラをつけ、真っ赤なワンピースや、フリフリレースのついたピンクのワンピースを着ている。キャンディさんが好きなのは、少女漫画の『キャンディ・キャンディ』だ。

奥様には逃げられ、3人の息子はすでに自立。亡くなった母親の残した1Kの部屋で、ひとり暮らし。荷物が多くて、ちょっと歩くと床に物が落ちる。生活必需品に混ざって、ピンクの冷蔵庫や、高校生が着るような女子の制服、赤いランドセルもある。

まあ、もし夫が堂々と女装して外出するようになったら、それでも人生を添いとげられるかと考えたら、別れる人がいるのはしょうがない。でも、キャンディさんは、無難に、女装をしない生き方は選ばなかった。