死に方は、人がコントロールできるものではない。

「自分で髪を洗ったことがない」という、いつの時代の人なのかと耳を疑う人もいた。他人に身のまわりの世話をしてもらうのが当たり前。

けど、中には嫌な人も。「一代で財を成した人」は、高圧的で、職員に横柄な態度をとる人が多い。一方、親がお金持ちの人は、そうではないんだとか。これは、孤独に一人で頑張ってきた人と、恵まれた環境があるかないかの違い、なんだろうか。

さっきの「争族」になってしまった人ではなく、「やさしさ」のせいでトラブルを起こす人もいる。

口からものを食べてはいけない入居者に、食べさせてしまう家族。最悪、命にかかわるので、職員の中で「あの人が来た」と警戒されていて、その人が帰ったあと、すぐに入居者の口の中をチェック。何か入っていたら、即取り出す。

これも、食べたいものを食べさせてあげたい、という思いがあって、なんだろうけど、働く人にとっては仕事が増える。

お金があっても、死に方は選べない。いろいろな人の人生の最期を、何人も見てきたミツキさんとヒロムさん。

私はヘルパーの資格を持っていて、研修で少しだけ、高齢者の方と接したことがある。勤務歴15年以上のお２人と比べたら、足元にもおよばないほど短い時間だったけど、大変でした。肉体的にも、精神的にも。