<若い子の隣で嫌でもしゃべられる><居場所が失われていくのが怖い>こうやって、他人に言えないことをみんなこのノートに書いていたんだなぁ……。

「心のゴミ箱なんかに捨てないで、この嫌な気持ちだって、認めるべきだったんだ」
と江美が思っているときに、

ノートには
<私、岩崎さんのこと全然好きじゃないのに><久々の人肌気持ち悪い>
なんて文章が。

辛くなったのか、ノートをビリビリと盛大な音を立てて破り捨てた。

そうして、江美は自分の若い頃、キャバクラやソープランドで男性の接客をしていたことを思いだしながら、
自分は
「目標もなく、流されるまま生きてきた」

「誰かや何かのせいにして、自分の人生と向き合わない理由を探して生きてきた」

「でも、それでも……」

と、友達のサチコや、スナックのママ、母親の言葉を思いだし、

「私を取り巻く人は、みんな優しかったのに…。世界はこんなに、すばらしかったのに…」
と自分のしてきたことを掘り下げて、大事なことに気づいていく。