夜、中将と光、川の近くを歩いている。

光が消えている間、『源氏物語』を最後まで読んだ中将。もし物語の中にいたら、光と中将はすっかり仲違いしてしまうという。

中将「私たちは、すっかり仲違いしてしまうのだ。そしてもう、元には戻らぬ」

光「にわかには信じられぬが」

中将「まことなのだ!」
中将、光の手をとる。

中将「私は嫌じゃ! こちらの世では決して、そのようなことにはなりたくない」

光「中将どの……」

中将、光に句を送る。

「君のその すぐな心ぞ 光なれ ともにあらなむ 命のかぎり」

(君のその、まっすぐな心こそが、私にとっての光なのだ。どうか命ある限り、ともにあってほしい)