傷だらけの君は



ここが……新選組がどんな組織かは、町の端にいたあたしもそれなりに聞いたことがあった。


人斬り集団。彼らはそう呼ばれていた。


夜な夜な京の町を歩き回り、人を斬り捨てているらしい。


実際、新選組がいきなり斬りかかってきたとあたしに治療を求めてきた人がいるから、その噂は本当なんだろう。


町の人たちは、新選組のことを酷く嫌っていた。


あの浅葱色の羽織を見た瞬間、化け物を見る目でその姿を見つめる。


背中に『誠』と描かれたその後ろ姿を。



まるであたしと同じだ、なんて。


そんな話を、その日はあたしの仕事がたくさん入って、珍しく上機嫌だった父様から聞いたときに思った。



そんな彼らがどうしてこんな小娘の心配をするのか。


何度も何度も頭を下げるのか。


余計、理解できなかった。