……そろそろか。


ぴりと肌に感じたのは紛れもない戦の合図。



「お前らいつまでも休んでんじゃねぇ!」


用意していた馬に足をかけた。



思っていたよりも敵陣の声が近づいていた。


何重にも感じるその声は、どう見積もっても俺たちより多い。



……つーかなんでこいつらこんな泣いてやがんだよ!


隊士たちの尻を叩こうにも、いかんせん時間がない。

馬から下りるのも面倒くさい。



「てめぇらそれでも新選組かぁ!?
こんなところでめそめそしてっと、何も守れやしねえぞ!!」




全体にそう喝を入れたところで、心の中が満たされていくのを感じた。


はは、やっぱり俺はこっちのほうが性に合ってるわ。



はっきり言ってこの戦に勝算は少なかった。が、


最後まで駆け抜けるしか道がねぇなら、誰よりも速く長く走るのみだ。



この俺に、時勢なんて関係ねぇんだよ。




「――――行くぞてめぇらァ!!」



今度は、雄叫びが返ってきた。