「ごめんなさい……やっぱりあたし、あなたのことを思い出せなくて……」
今日もあたしの病室にお見舞いに来てくれている男の子のこと。
名前は相馬怜央くんと言って、同じクラスらしい。
背が高く、ハッと息をのむようなイケメンな男の子。
そして……あたしの彼氏だったんだとか。
目覚めてから2週間がたつけど、彼のことだけはどうしても思い出せないのだ。
明日こそは彼のことを覚えていますように……と思って眠りにつくけれど、やっぱり無理で。
そもそも、こんなにカッコいい人があたしの彼氏だなんて信じられない。
だって、テレビに出てくるイケメン俳優さん並みのカッコよさだから。
あたしみたいな平凡な女の子が、どうやったらこんな素敵な人とつき合えるんだろう。
実は彼は本物の俳優さんで、ドッキリにでも掛けられているのかと疑ってしまう。