あとから聞いた話では、あの坂では二十年近く前にひとりの女が交通事故にあい、

全身がぐにゃぐにゃにねじれて死んだという事件があったらしい。



俺がみた女は、たぶん、その事故で死んだ女だったのだろう…。


ただ、その女がなぜ自分の赤ちゃんを探していたのか、

そして、電話ボックスの赤ちゃんと何か関係があるのかは今でも分かっていない。


しかし俺は、なんとなくあの女と電話ボックスの赤ちゃんが親子であったと思っている。


まぁ、どちらにせよ、俺はもう二度とあの電話ボックスにも、神社の坂にも近づくことはないだろうが……。




【①電話ボックスの女 おしまい】