学院のトップスリーのうちの一人、雨宮様は甘ったるい笑顔で女心を弄ぶことで有名なのに、私にだけは裏の顔を見せてくれて、お互いの弱みを握り合う中になってしまったの。

それに天花寺様には渡せない。だなんて大胆発言までされちゃった!


学院のトップスリーの最後の一人は、無愛想で少し怖い桐生様。

私のことがお嫌いだったはずなのに、何故か私に近づいてきて「お前のような綺麗な女には浴衣が似合う」だなんて熱っぽい眼差しで言われてしまって胸の高鳴りが収まらない!



それに桐生様の実兄である景人様には、「あんたのこと好きだよ」なんて言われて、誕生日におめでとうと電話までかけてくれて積極的にアピールされちゃってるの。


そんな私には婚約者がいる。

ずっと仲が悪くて、お互い会うことを極力避けていたはずなのに。

最近ではどこかに行くたびにお土産をくれて、メッセージまで送ってきて、極め付けは顔文字!


彼ってば前まで使わなかったのに、どうしてしまったの!?



『真莉亜、選んで』

ダメよ、一人なんて選べない。


これは恋に翻弄される私、雲類鷲 真莉亜のときめき恋愛物語。



ごめんなさい。嘘です。



かなり捏造しました。

たしかに告白っぽいのはされたけど、誰も私を取り合っていません。



前世で読んでいた漫画と似た世界に転生してしまった私が、漫画のシナリオ通りだと自分が殺されてしまうことを思い出して、必死に死亡フラグを回避したい話だけど、回避しきれていない気がする物語です。



私を殺したいほど憎む人が現れないように、なるべく大人しく過ごしつつも覚えている。そんなほのぼの?日常。



原作を変えようとしていたけれど、思わぬ方向に変わってしまったり、原作と似た展開でも時期がずれていたりと色々予測不可能なことが最近起こるようになってきた。


ポケットに入れている携帯電話に触れて、小さくため息を吐く。