確かに、誰かれ構わず『再生』の“神力”をふるい、よみがえらせることには抵抗がある。
だが、だからこそ、順序立てて話をしてくれさえすれば、咲耶とて無下に断りはしなかっただろう。
このように傷つけられた姿から察すれば、何か理不尽な暴力にさらされたのかもしれないと、想像できるのだから。

ふうっ……と、愁月が深く息をついた。

「……咲耶、そなたはまだ、気づいておらぬようだが」

感情に任せ、憶測のまま愁月を責め立てた咲耶に、無慈悲な“神官”が低く告げた。──思いもよらぬ、ことを。

「そなた自身には、今はなんの価値もない。
そなたも自覚しての通り、“神力”があればこその“花嫁”。それを失っているそなたは、無価値な“供物”でしかない」

向けられる眼差しは、熱くなった咲耶の心と身体に、冷水でも浴びせるかのような非情なものだった。