校門まで来ると、高志が立っていた。

「おう、朋樹、オッス」

「めずらしいね。待ってたの?」

 凛が少し首をかしげながら声をかけた。

「オハヨ、高志」

「おはよう、凛。今日もかわいいな」

「ハア? 何言ってんの」

 高志は真顔だ。

「ちゃんと自分の気持ちを伝えようと思ってさ」

「そういうのはあんたにはまだ早いよ」

 凛が鞄を振り回す。

 高志の背中にぶつかる。

「お、今朝もありがとうよ」

「何か違うんだよな」と凛が首をひねる。

「朝からアツイね」と僕は横から口を挟んだ。

「うるせーよ、朋樹、寒いに決まってんだろ。もうすぐ冬至だぞ。ユズ湯に沈めてやるからな」

 凛が元気になった。

 口の悪いのも戻ってきた。

 何か安心する。

 高志が僕の肩をつかむ。

「サンキュー、朋樹」

「なんだよ、らしくないな。落とし物の泉から出てきた『きれいな高志』みたいだぞ」

「うん、俺、ピュアに生まれ変わったんだ」

 また調子に乗ってるよ。

 これだから失敗を繰り返すんじゃないかよ。

 まあ、僕も人のことを笑えない。

 失敗と言えば、その日の試験もさっぱりだった。

 いつもの学校の雰囲気が戻ってきたといっても、それとこれは別だ。

 ちょっとやったくらいで、英語の試験で奇跡なんか起こるわけがない。

 赤点じゃなければいいや。

 ようやく全科目終了だ。