それとは反対にあたしの体をきつく抱きしめて来る。


その瞬間、砕けていた恋心がほんのりと蘇って来るのを感じた。


あぁ、あたしはやっぱり颯樹が好きだ。


颯樹の本性を知って、颯樹の弱い心を知って、やっぱり好きだと感じられる。


落下して行く恋の欠片が再び浮上して風船の形を模って行く。


それは以前よりもシッカリと強度を付けて、安易には割れない風船になっていることだろう。


あたしは自分の腕の中で泣き始めた颯樹を、子供のようにあやしながらそう考えたのだった。