ヴァーチャル・リアリティ

それでもどうにか開いた冷蔵庫。


中身を見て愕然とする。


中にあったのはお酒と、そのつまみばかりだったのだ。


それを見た瞬間、脱出ゲームの冷蔵庫の中と類似ていることに気が付いた。


あのキッチンも、ここと同じような有様だったはずだ。


小さな手が冷蔵庫に伸びてチーズを掴んだ。


その袋はぎこちなく開けられ、手をベトベトにしながら口に運ばれて行く。


少しずつ少しずつ空腹が満たされて行くのを感じるが、チーズひとかけらで足りるワケがなかった。