涙を拭おうとすると、彼は私の手を掴んで立たせると抱きついた。 「わっ!! あのっ」 「やっと……会えた…っ…」 「………え?」 「…………覚えてない?」 何を言ってるの? そんな私の様子を見ると、彼は腕を離して悲しそうに呟いた。 「そっか…………僕、君の事絶対忘れないから……いつか、思い出したらまた会おうね」 そう言って俯いたまま去る彼を、私はいつの間にか呼び止めていた。 「待ってっ!!!」