そう言った彼の目には涙が浮かんでいた。
「吉田さんはいい人なんですね」
「そう思うならそれでいい」
「もっと違う出会い方をしていたらきっと仲良くなれたのに。同じ志を持っていても互いの目的が違えば戦をする。それはどの時代でも同じです」
「何が言いたい」
「……また後でお話します。仕事がありますので私はこれで」
いつの時代だろうか。日本にも戦争を辞めると断言し、平和な世が続いた時代があった。
それなのに……いつ道を違えたのだろうか。
何万と転がる遺体、血で真っ赤に染まる地。そんな所にだって花は咲く。
人間たちの間にもなにか、花のように凛と美しく、輝くものがあればいいのに。



