本命は、池田屋。そんなのわかってる。ここで真実を言ってしまったら沖田さんは池田屋へ向かわずにはいられなくなる。そんなのだめ。 近藤さんには私が傷一つ付けさせない。 あっという間に日も暮れ、皆が浅葱色の羽織をまとった。 暑いな。確かこの日は記録的猛暑日だったっけ。 「沖田さん、気をつけて下さい」 「文も」 「はい」