「オレはこの船が沈むと思う。

嵐の中、頼りなく揺れている木の葉みたいなオレたちの船の燃料タンクが爆発したんだ。

この船の傾き方を考えたら、この船の中にはもう、海水が入り込んでいると思う」




「嫌だよ、そんなの認めないよ」




怖がりな莉々菜が泣きそうになりながら、両手で顔を覆った。




「私たち、まだちゃんとした恋愛もしていないのにね」




いつもはフワフワと現実離れをした会話をする結衣が、そう言って、下を向いた。




「あとは運しだいだよ。

オレたちが生きるか、死ぬか」




オレたちは傾き始めた船の高い場所へ逃げていった。




だけど、船は傾きを止めることなく、傾斜はさらに大きくなっていった。




そして、沈みかけた船に大きな波が襲いかかった。




その瞬間、オレたちは全員、大海に沈み、そこで意識を失った。