絶望の島

「逃げるぞ、泰雅!

あんなのに標的にされたら、命がいくつあっても足りないぜ。

あいつは戦っちゃいけない相手だ。

なぁ、泰雅!」




オレは彩斗に肩を揺すられ、ようやく我に返った。




逃げなくちゃ、殺される。




そんな人間が忘れかけていた本能が、オレの中で、目覚め始める。




オレはコンクリートに囲まれた都会に生まれて、人間が何者かに襲われて、殺されるなんてことが起きるなんて、思ってもみなかった。




オレの目の前にいる怪物が、何者であるか、オレにはわからない。




だけど、逃げなくちゃ……。




生きのびるために……。