真っ暗な空を稲妻が切り裂いた。




轟音と共に夜空を照らした稲光は、何か不吉なことが起きる前触れを感じさせた。




「高校卒業の思い出がこんなことになるなんて……。

あっ、船が大きく揺れて、体を支えなくちゃ立ってられない。

ねぇ、泰雅。

私、怖いよ」




「大丈夫だ。

嵐はじきに収まるよ。

怖いことなんて、何もない」




「大変だ!」




観光船の中で、男の悲鳴にも似た叫び声が聞こえた。




「火事だ!

燃料タンクから火が出てる!」




オレは今のこの状況で火事が起きたという事実に恐怖した。




燃料タンクで燃え盛る炎は、消化可能なのだろうか。




もしかしたら、オレたちは、最悪の状況の中にいるのではないだろうか?




オレが現状を不安に思ったそのとき、船内に爆発音が響いて、オレはその場に凍りついた。