絶望の島

「あんな施設のことなんて、考えなくていいよ。

私たちは民家に行って、人を探せばいいんだよ。

そしたらこの島に船を呼んでもらおう。

私たちは家に帰れるよ」




そう言って心美はオレの顔を見て微笑んだ。




心美の笑顔って、まるで子供みたいだ。




心美のその笑顔が、ウソ偽りなく、オレにうれしいって伝えている。




オレは幼馴染みの心美を最近、女として意識する。




オレたちは高校三年生。




オレたちはもう、大人って呼べる年に近づいているんだ。