翌日は朝からお茶会に向けての準備を始めた。リタの死以降、暗い空気が漂う別荘に久しぶりにやってきた楽しい話題とあって、メイドたちはどこか浮足立っているようだ。

「天気がいいから日の当たる窓際にテーブルを置きましょう」

「お菓子は焼き菓子にするつもりなのですが、マルティナ様、お嫌いではないですよね」

「あ……はい」

途端に色めきだつメイドたちは、こういった交流が好きなのだろう。

「なんか、楽しそうですね」

「そりゃ、久しぶりのお茶会ですもの。リタ様は社交的で、こういった集まりがお好きだったんです。お元気なころはいろんなお客様を招いておられましたよ。来られるお客様もそうなんですが、リタ様のお召し物がまた素敵だったんです」

そういえば、リタの遺品の中には、服飾品や金品もあるはずだ。それに関してはどうすればいいのだろう。
ふと疑問に思って、マルティナはディルクのもとに行った。

「ああ、そうですね。宝飾品は本邸に持ち帰って、エミーリア様にも判断していただくことになると思います。ドレスは、古着屋に買い取ってもらうことになるでしょうね。気に入ったものがあれば譲り受けても構いませんよ。まあ、リタ様向けのものですから年配向けのお色が多いでしょうけど」

「そう……後で見てみます」

一応持ってきたドレスを身に着けてはみたが、メイドたちがあんなに称賛するリタのドレスを見てみたい気持ちもあった。