教室に戻った神奈に三上まなが近寄ってくる

「矢沢さん。なんか、ごめんね?」

「ん?何謝り?この騒ぎが嘘だって事に?」

「嘘?違う違う!!妹の矢沢からお兄さんを取ったみたいな感じになっちゃって…」

もじもじと赤くなる三上まなに神奈はドン引く




ここまで嘘を突き通す意味は…

やっぱ兄貴の事ガチで好きだとか?

いやいやいや、この子こそサイコパスだよ

絶対男経験無さそうな奴に限って
何考えてるか分かんないよ。

どこまで自分の妄想を現実と勘違いして
嘘を突き通すんだこいつは…



「矢沢さん?どうしたの?」

「ん?あのさー。兄貴から聞いた話と違うんだよねー。あんたがラブレター渡してから兄貴は返事した?」

「ラブレター渡した後に返事を聞きに職員室に行ったの、そしたらラブレターを見ながら俺も好きって言ってたの聞いたの…」

「ふーん。ま、関係ないから好きにしてくださーい」


彼女が言ってる事がほんとかどうかは
クソほどどうでもいい。
兄貴が好きだと言ったんならそれでいい

三上まなは何食わぬ顔で過ごしている

じゃあそれでいいじゃないか

スッキリした顔で席に座ると樹が目の前に
やって来る



「なんか大変だね!!」

「あたしより兄貴が大変なんじゃない?」

「なんか女子に質問されて青い顔で教室から飛び出して行ったよ?」

「なんかよくわかんないけどいんじゃね?」

「軽いな〜。遊くんもあと少しで居なくなるのにまさか彼女作るなんてね!!」


そっか、周りからしたら三上まなの話を信じるのは当たり前か。

兄貴は何も言わないから付き合ってる事になってるんだ。


「はあー、ココ最近兄貴のせいでめんどくさい。」

「ん?」


目の前で疲れきった顔をする神奈がどうしてこんなにも気分が下がってるのか分からない樹だった。