5時間目の授業が終わったあと、あたしはすぐに航の机へと向かった。


教科書をしまおうとしていた航が途中で手を止めて顔を上げる。


「ちょっと話があるんだけど」


そう言うと、航は眉を寄せて怪訝そうな顔を浮かべた。


「話なんて、特にないけど」


今まで通りの冷たい反応にハッと息を飲んだ。


「なんで……?」


思わずそう呟いていた。


「なんでってなんだよ? どうせ昨日の続きだろ? 聞きたくないんだ」


航はそう言うと、教室から出て行ってしまったのだった。