バスケ部は朝練があるから、久我くんはいつも始業ギリギリに教室に入ってくる。
そわそわしながら待っていると。
やっぱり今日もギリギリに教室に入ってきた。
「おーっす!」
同じバスケ部の工藤くんも一緒に入ってきて、元気よく挨拶する。
とたんに、このクラスの空気がいっぺんに明るくなる。
工藤くんはムードメーカーだもんね。
イケメンふたりが登場して、女の子たちの顔が輝きだすっていうのもあると思うけど……。
「絢斗おはよー!」
「凛太朗はよー!」
クラスの人たちから口々にかけられる挨拶に、工藤くんは元気よく返しているけど、久我くんは片手をあげて応えているだけ。
ふたりともすっごい仲がいいのに、雰囲気は対照的。
機嫌……悪いのかなぁ……それとも、これが久我くんの普通……?
よくわからないけど、愛想のない人に話しかけるのってかなり勇気がいる。



