「こういう言い方おかしいかもしれないけど、遥輝が生きてた頃より、遥輝が近くに感じるんだよ」
「……近くに?」
「ああ」
蒼くんは、力強くうなずいた。
「目には見えないけど、感じるんだ。いつも俺のそばにいてくれてる、そう思うことで俺も頑張れる」
……すごいな、蒼くん。
まだあたしは悲しみのほうが大きくて、そんな風には思えないし、お兄ちゃんが遠くて遠くて仕方ないのに。
「遥輝にカッコ悪いとこ見せられないからな」
そう言って向けられた瞳に、思わず息をのむ。
真っ直ぐすぎて吸い込まれそうだった。
悲しみを乗り越えたら、こんなにも強くなれるのかな。
あたしにもいつか、そんな風に思える日が来る……?
「……まだ……行けないか……?」
「……」



