「……うん」
「ほらまた」
「……っ……ごめん」
……だって、緊張しちゃって。
うまく言葉が出てこないの。
「謝んなくていーよ」
ふわっと頭に乗せられた手。
胸がきゅんとして、思わず肩をすくめた。
……こんな風に触れられて、あたしがどれだけドキドキするのか、蒼くんは知らないでしょ……。
去年の夏以降、お兄ちゃんの病状が悪化し、あたしも受験生ということもあって、蒼くんへの好きは心の奥に閉じ込めていた。
だけど、またこんな風に頻繁に蒼くんに会える状況になって。
また目覚めた想いは加速を続けるばかり。